「民謡」と言えば、日本の伝統芸能の一つとして挙げられますが、そのイメージとするところはどんなことでしょうか? 十人十色の意見のあるなか、和の心を伝える唄という点では共通することでありましょう。しかし、伝統という言葉から時代を遡ったという印象を持たれるのは否めないと思います。
昨日(11月25日・金)、横浜の中心地に位置するジャズの演奏を楽しめるKing’s Barというクラブで、津軽三味線と尺八・篠笛と和太鼓のところをジャズドラムで民謡を唄うという初めての試みが行われました。演奏者も初めての試みで、お客様も勿論初めて目にし耳にするワクワクのライブとなりました。
さて、その成り行き次第はいかに?
順を追って、お伝え致します。
まず、king’s Barの雰囲気をご紹介致します。ビル地階の入り口です。いかにもジャズのライブが行われるクラブと言う雰囲気ですね。


店内の様子です。


今回のライブはジャズドラマーのかたぎり聡先生がリーダーとなり、ジャズドラムという洋楽器で日本の伝統芸能である民謡を表現したいという兼ねてよりのご要望を武花流二代目会主・JVCビクターエンターテインメント専属民謡歌手の武花千草先生がお受けして実現したもので、津軽三味線と尺八・篠笛が構成メンバーに加わり開催されました。
第一部の開演にあたり、満席のお客様をお迎えして、かたぎり先生からその趣旨が述べられ、本日の演奏メンバーが紹介されました。津軽三味線は小山流総師範・小山竜浩師匠、尺八・篠笛は三枝寿童先生、お囃子は梶原麻梨乃さんと梶原実乃梨さん姉妹。
日本全国の民謡は北から南まで知られている唄や今では埋もれてしまっている唄も含めても諸説あって数が特定できないほど多く存在しています。また、各都道府県にある唄にはその土地の生活や習慣に触れた唄だけに地方色が現れる独自の唄が存在します。
ライブ第一回目の試みとして、西から始まり東に向けての民謡の旅という趣向で第1部と第2部に分けて行われ、まずは九州の民謡「牛深ハイヤ節」からスタート致しました。千草先生から牛深ハイヤ節についての解説があり、北前船に乗って唄と共に北上し、船が止まる港の地に唄も止まり、その地で新たにその地に合った唄へと変化し、曲名が変わり、その唄がやがて北前船に乗せられて別の地へと流れて行くというイントロ解説がライブへの誘いとなりました。





同じく九州は熊本の民謡「おてもやん」、四国に渡り「よさこい節」、島根県は「しげさ節」、東に入り神奈川県では「ダンチョネ節」、「いかとり唄」、「群馬県・栃木県の「八木節」などなど・・・
尺八と篠笛が三味線とドラムに寄り添って、時として哀調を、時として気分を盛り上げる高調子に、そしてほんのり艶っぽく、心憎い笛の七変化の音色にお客様はうっとりと・・・


第一部が終わり、インターミッションの間も満席のお客様の上気した淀みが覚めることなく第二部の幕開きを心待ちにしている空気が漂っていました。
第二部の唄の旅は東北地方に移り、宮城県「宮城長持唄」ではジャズを歌う会の方が、亡き父が娘のために唄った事を思い出し落涙するというシーンもありました。また、ジャズで言うところのインストと言われる楽器のみの演奏では、津軽三味線の「秋田荷方節」をドラムと共に斬新なメロディーとしてお客様を魅了致しました。
東北地方に到着してから最後の曲までにはあっという間の時間でした。ここでこのライブのためにアメリカ・オレゴン州・ポートランドから来日された竜浩師匠のお弟子さんの小山浩鳥さんが紹介され、ご挨拶の後でフィナーレ曲の「津軽囃子」の演奏に加わりました。



普通は民謡のフィナーレはそこで終演ですが、ジャズのお客様が大勢いらした事もあり、「アンコール」の掛け声と手拍子・拍手の嵐が巻き起こり、お目出度い「俵積み唄」をお客様の手拍子と共にお賑やかに締めとなったのはまさしく民謡風でした。

万雷の拍手の中、出演者の皆様のご紹介があり・・・

出演者一同の集合写真をパチリ!

一緒に写りましょうか・・・

それでは揃って・・・

お客様は終演後もすぐにお帰りになろうとせず、ミュージシャンの方たちと語らう方も多く、それぞれご自分の感想やご意見を述べられていらっしゃいましたが、異口同音に今までに思い感じていた民謡とは別物の様に良い意味で斬新にすっと心に入り込んできた心地よい音楽として受け止められていたようです。
また、多くの皆さんから「次はいつですか」のご質問を浴びせられ嬉しい困惑顔のミュージシャンの笑顔も爽やかでした。
この度のライブは新しい民謡の夜明けの様であり、ドラムと言う洋楽器の和の音が融合して「和音」となったひと時だったと思います。
また、いずれ近い将来第二弾をお届けできる事を楽しみに致しております。
おまけは、ちょっと打ち上げで一杯のところをパチリ!
